君は死ねない灰かぶりの魔女(ラノベレビュー・感想)
世界を救った代償として、望まぬ不老不死とまともに生きることのできない様々な異なる呪いを宿した13人の魔女と、異世界転生したものの記憶を失い、何故か魔女の呪いを無効化できる主人公を拾った魔女の一人であるヒロインとが、凶悪魔女と闘いながらも何とか幸せになろうともがくダークファンタージーラノベ
魔女の呪いは、他人が化け物の姿に見えたり、他人から化け物の姿に見られたり、他人の負の感情の思考だけ勝手にわかってしまったり等、人と一緒に暮らすことが非常に辛く難しい状態にあるが、不老不死のため長い年月孤独と闘いながら死ぬことも出来ず、魔女がそれぞれ苦しんでいる
そんな中、主人公だけが唯一魔女の呪いを無効化できるということで、最初は主人公を拾ったヒロインが独り占めしていたものの、徐々に他の魔女を呼び寄せ、主人公の特性に気づいた魔女達が主人公を取り合い、周囲を巻き込んで骨肉の争いを始めるといった展開
登場する魔女のほとんどは残忍かつ残酷で厄災と呼ばれる存在で登場して最初はその残忍すぎる姿に怒りが込みあがるが、不老不死になる前は、魔法の扱いが優秀な心優しい普通の少女がほとんであり、優秀であるがために世界を救う戦いに巻き込まれ、世界を救ったにも関わらず、死ぬことすらできずに呪いに永遠に苦しんだ果てに、多くの魔女が狂ってしまっている背景を知るにつれて、最強である彼女たちがかわいそうな存在に思えてきて、読んでいて非常にせつなくなる
序盤はそうでもないが話が進むに連れて内容がどんどん重くなっていき、呪いに苦しみ死ぬこと以外に救いがないという魔女達が、唯一の希望として出会った主人公を奪い合うのは必然と言え、その奪い合いがおどろおどろしくも苛烈で非常に読みごたえがある
全2巻完結の作品であるが、1巻が500ページ越えという大ボリュームでラノベ2冊分くらいの量があるのに対し、最終巻である2巻は300ページちょっとの普通のボリュームとなっているが、1巻がバッドエンドと言えるよう内容で物語として一応終結しており、2巻はその後日談的な内容となっているためで、巻数は少ないながら読み越えは抜群
ダークファンタジー好きや、安易なハッピーエンドが好きない人、最後まで救われない系の話が好きな人にはおすすめな作品

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